JR郡山駅前で1月、乗用車を酒気帯び運転し、受験に来ていた大阪府の予備校生女性(19)をはねて死亡させたなどとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)と道交法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた福島県郡山市の無職、被告の男(35)を懲役12年とした地裁郡山支部裁判員裁判判決を巡り、女性の遺族は22日、量刑不当だとして地検郡山支部に控訴するよう申し入れた。遺族の代理人弁護士が明らかにした。
遺族は「過去の量刑を参考にした点には一定の理解をするが、現在の交通事犯の悪質性、被害者の重大性、一般社会の考え方に照らし、判決内容は軽いものと考えている」としている。
判決は被告の走行状況などから赤信号無視の故意性を認め、危険運転致死傷罪の成立を認定。過失だったとの弁護側主張を退けた。一方、死亡した被害者が一人である点などから「検察が主張する最も重い部類に属する事案」とはいえないとし、検察側の求刑懲役16年に対し12年と判断した。
秋の全国交通安全運動に向けた福島県のいわき中央、いわき東、いわき南の3署合同の出動式は18日、いわき市平の六町目広場で行われた。ものまね芸人のホリさんが一日警察署長を務め、飲酒運転根絶などの交通安全を啓発した。
ホリさんは、いわき中央署の阿部勝也署長から委嘱状を交付された。同署の田中秀幸交通1課長から出動申告を受け、白バイやパトカーと交通パレードを行った。
出動式後、JRいわき駅改札口付近では、交通安全を呼びかけるチラシや反射材などを配布。ホリさんによるものまねトークライブなども繰り広げられた。
ホリさんは「飲酒運転はやめてください。成り済ましにも注意してほしい」と呼びかけた。
「赤色信号を殊更[ことさら]に無視し、交差点に進入したと認められるため危険運転致死傷罪が成立する」。地裁郡山支部で17日に開かれた福島県郡山市の無職、被告の男(35)の裁判員裁判判決公判。酒を飲み、スピードを出したまま信号を無視し大学受験の10代女性をはねたとして危険運転致死傷罪の成立を認定、故意性があると断じた。言い渡された量刑は懲役12年(求刑懲役16年)―。被害女性の母親は「あまりに刑が軽い」とコメントし、危険運転への厳罰化を訴えた。
下山洋司裁判長は判決理由で、被告が体にアルコールが残っていることを自覚しながら、制限速度を約30キロ上回り信号を無視したとし「重大な結果を生じさせる危険性が高い無謀な運転」と強調した。
検察側は、事故発生場所の手前の交差点で赤信号を無視して右折した後、衝突しそうになったタクシーや後続車両をかわして自分の車線に戻り、事故現場の車線変更をし蛇行することなく進行したと指摘。赤信号を無視した4カ所で、赤色表示に切り替わってから8~13秒後に通過し、一貫して加速している点などを詳細に立証した。
福島県郡山市のJR郡山駅前で酒気帯び状態で乗用車を運転し、大阪府から受験で訪れていた予備校生女性(19)をはねて死亡させたなどとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた郡山市の無職、被告の男(35)の裁判員裁判の判決公判は17日、地裁郡山支部で開かれた。下山洋司裁判長は危険運転致死傷罪の成立を認め、被告に懲役12年(求刑懲役16年)を言い渡した。
危険運転致死傷罪の構成要件の一つ「赤信号を殊更[ことさら]に無視」したかどうかが争点だった。弁護側は、被告は飲酒や眠気の影響で注意力散漫だったと説明。赤信号を見落とした過失を主張していた。
下山裁判長は、被告が事故前、衝突しそうになったタクシーをかわすなど対向車の有無などを認識して運転していたとして「信号表示を認識することができなかった事情は見当たらない」と指摘した。交差点で加速している走行状況などから故意性を認め、危険運転致死傷罪が成立すると判断した。