兵庫県宝塚市の住宅で令和2年6月、家族ら4人をボーガン(クロスボウ)で撃って殺傷したとして、殺人や殺人未遂の罪に問われた無職、野津英滉(ひであき)被告(28)の裁判員裁判の初公判が25日、神戸地裁(松田道別裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。弁護側は「心神耗弱状態だった」として、責任能力を争う姿勢を示した。
【別の写真】ボーガン事件容疑者「急所狙った」
野津被告の公判期日は4年10~11月にいったん指定されたが、被告の心身の不調を理由に取り消されていた。
検察側は冒頭陳述で、母親からの愛情を感じられなかったことなどから被告が家族3人に不満を募らせ、「将来の展望を奪われた」と考えていたと指摘。3人を殺して死刑になろうと考え、確実に死刑になるため伯母の殺害も計画したとした。
事件前にはナイフも購入していたが、ボーガンの方が「(実行に)抵抗が少ない」と考えたとも指摘。自宅付近のブロック塀などで試し打ちもしており、「計画性が高い。強固な殺意を持って犯行に及んだ」として、完全責任能力が認められると主張した。
これに対し、弁護側は被告について「ストレスの多い厳しい家庭環境だった」とした上で、事件当時は発達障害の影響を強く受け、心神耗弱状態だったと主張した。
起訴状によると、被告は2年6月4日、自宅で同居していた祖母の好美(よしみ)さん=当時(75)=と弟の英志(ひでゆき)さん=同(22)、別居する母親のマユミさん=同(47)=の頭部をボーガンで撃って殺害し、伯母(55)にも首に矢を命中させて重傷を負わせたとされる。
ボーガンは引き金を引いて装塡(そうてん)された矢を発射する仕組み。事件を機に規制を求める声が高まり、4年の改正銃刀法の施行で所持が原則禁止された。
■殺傷後に規制強化、重大事件は封じ込め
兵庫県宝塚市の4人殺傷事件をきっかけに銃刀法が改正され、ボーガンの所持が許可制になるなど規制が強化された。令和4年の改正法施行後、ボーガンによる殺傷事件は把握されておらず、重大事件の抑止につながっている。
ボーガンは和弓と比べ操作が簡単とされ、警察庁の報告書では、拳銃に匹敵する威力があるとの実験結果もある。同庁によると、平成22年から令和2年までにボーガンが使用された事件の摘発件数は計37件、殺人などの生命や身体を害する事件は16件に上った。
政治資金規正法違反(虚偽記入)罪に問われた元参院議員、大野泰正被告(66)らの公判が行われた東京地裁の法廷の傍聴席に25日、自民党の稲田朋美衆院議員も姿を見せた。稲田氏、大野被告ともに旧安倍派に所属していた。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る一連の不記載事件で、旧安倍派の国会議員が傍聴するのは異例だ。
この日は旧安倍派の松本淳一郎元会計責任者(78)=同罪で有罪確定=に対する証人尋問が行われ、派閥側と大野被告側でどのようにカネのやりとりがあったかなどについて質問が行われた。
閉廷後、産経新聞の取材に応じた稲田氏は、「(不記載事件の)裁判を以前から傍聴したいと思っていた」とし、「真実を解明しない限り、この問題のけじめがつかない」と強調。松本氏の証言については「誠実に答えていた印象だ」と語った。
起訴状によると、大野被告らは、大野被告の政治団体「泰士会」の平成30年~令和4年分の収支報告書に、旧安倍派から受け取った計約5100万円を記載しなかったとされる。
大阪・関西万博会場内のオフィシャルストアでグッズを万引したとして、大阪府警捜査3課は25日、窃盗の疑いで福島県の女子高校生(16)を逮捕した。「彼氏とSNSで知り合った人と私の4人で万引しに行きました」などと容疑を認めている。
【画像】万博会場限定「たまごっち」や「金色貯金箱」が高額転売…フリマサイトに高値で出品された関連グッズ
府警は8月、万博会場内でグッズを万引したとして、窃盗容疑で東京都の無職少年(16)と埼玉県の男子高校生(16)を逮捕。女子高生を含む4人組の窃盗グループとみて、もう1人の行方を追っている。
府警によると、男子高校生は「高く売れる鉄道模型を万引するためだった」と供述。グループは公式キャラクター「ミャクミャク」のカチューシャや鉄道模型など、計173点(総額約74万円相当)を転売目的で盗んだとみられる。
女子高校生の逮捕容疑は共謀し、6月11日午後、万博会場内でショッピングバッグ6個を盗んだとしている。
【花蓮県光復郷=西見由章】台湾東部の花蓮県で23日、洪水が発生し、消防当局によると、24日午後4時(日本時間同5時)までに17人が死亡、17人が行方不明となり、32人が負傷した。台風18号に伴う豪雨で山間部のせき止め湖から水があふれ出し、下流の市街地周辺で浸水被害が起きた。
死者と行方不明者が集中しているのは花蓮県中心部の花蓮市から南西に約40キロの光復郷。地元の花蓮県や周辺県市の消防当局から約330人が出動し、救助活動にあたった。
台風18号は台湾南方のバシー海峡を通過し、台湾本島には上陸しなかったものの、東部や南部を中心に豪雨となった。気象当局によると、洪水の原因となった花蓮県のせき止め湖では22~25日の4日間に計700~800ミリの降水量が見込まれるという。
■駅前一帯は灰色の泥
本紙記者は24日午後、被災地の花蓮県光復郷に入った。駅前の一帯は灰色の泥で覆われ、商店街や住宅は軒並み1階部分が浸水被害に遭っていた。住民らはスコップで泥をかき出す作業に追われ、汚泥を処理する重機やサイレンを鳴らした救急車などが慌ただしく行きかった。
コンビニエンスストアの店舗に洪水で流されてきたコンテナが衝突し、斜めに傾いたままとどまっていた。店内は陳列棚が重なり合って倒れ、浸水の勢いの強さを示している。
店舗関係者の女性(40)によると、洪水が発生したのは23日夕方ごろ。「河川がある北側から突然、水が押し寄せてきてどうしようもなかった。このあたりは比較的安全な場所のはずなのに」と呆然(ぼうぜん)とした様子で話した。
■浸水の跡は人間の首の高さ
雑貨店を経営する陳玉英さん(75)は「水があっと言う間に満ちてきて恐ろしかった。1階のシャッターが壊れ、店にあった椅子など何もかも流された。警察官がすぐにきて『ここは危ない、上の階に上がって』と叫ぶのを聞いて、急いで3階まで上がった」と振り返った。壁に残された浸水の跡は人間の首の高さまであった。
24日午後、光復郷では断続的に雨が降り、一部道路ではひざ下までつかる濁流が発生した。
出産直後の男児を袋に入れて捨てたとして、殺人未遂の罪に問われた住所不定、無職、北川望歩(のあ)被告(23)の裁判員裁判初公判が24日、東京地裁(宮田祥次裁判長)で開かれた。罪状認否で、被告は「ひどいことをしてしまった。本当に申し訳ない」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、被告は令和6年6月20日未明、居候していた友人宅の風呂場で男児を出産。その後、男児を裸のままタオルとともに袋に入れて運び、隣のアパートのゴミ箱に捨てたとした。
弁護側は、被告は既に男児が亡くなっている可能性が高いと認識していたと主張。殺意はなかったとし、出産の痛みで意識がもうろうとする中で、適切な判断ができなかったと訴えた。
この日は被告人質問も行われ、被告は男児を捨てた翌日、「推し活」をしていた地下アイドルのライブに行った理由を問われ、「いつも通りにしていないと不審に思われると思った」と述べた。
起訴状によると、6年6月20日未明、東京都練馬区のアパートで男児を出産した後、隣のアパートに設置されたゴミ箱に男児を入れ、蓋をして立ち去ったとしている。
男児は約半日後、泣き声に気づいた近隣住民に発見された。命に別条はなかったが、低体温症や貧血、肺炎などを発症したという。
兵庫県宝塚市の住宅で令和2年6月、家族ら4人をボーガン(クロスボウ)で撃って殺傷したとして、殺人や殺人未遂の罪に問われた無職、野津英滉(ひであき)被告(28)の裁判員裁判初公判が25日、神戸地裁(松田道別裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。
冒頭陳述で検察側は、被告が祖母と母親、弟の3人に対し不満を募らせ、「将来の展望を奪われた」と考えていたと指摘。「(3人を)殺して死刑になろうと考え、確実に死刑になるために伯母の殺害も企てた」とし、「計画性が高い犯行であり、それぞれに強固な殺意を抱いていた。完全責任能力は認められる」と主張した。
一方、弁護側は「事件当時は心神耗弱状態だった」とし、責任能力について争う姿勢を示した。
起訴状によると、被告は2年6月4日、自宅で同居していた祖母の好美さん=当時(75)=と弟の英志さん=同(22)、別居する母親のマユミさん=同(47)=の頭部をボーガンで撃って殺害し、伯母(55)にも首に矢を命中させて重傷を負わせたとしている。
4年に公判期日が一度指定されたが、被告の心身の不調を理由に取り消されていた。
クロスボウは引き金を引いて装填された矢を発射する仕組み。事件を機に規制を求める声が高まり、同年の改正銃刀法の施行で所持が原則禁止、許可制となった。
勤務する学習塾で教え子の中学生の女子生徒にわいせつな行為をしたとして、京都府警伏見署は25日、不同意わいせつ容疑で、京都市伏見区新町の大学院生、鴨井克拡容疑者(24)を逮捕したと発表した。「一切ない」などと供述し、容疑を否認している。
逮捕容疑は2月20日~5月22日、勤務する京都市伏見区の学習塾で、女子生徒2人の胸を触るなどしたとしている。
伏見署によると、生徒の母親から署に相談があった。いずれも授業後の自習時間の犯行だったとみられ、署は教室内の防犯カメラの映像などを分析し、捜査を進めていた。
偽造在留カードを受け取ったとして、警視庁国際犯罪対策課は入管難民法違反の疑いで、中国籍で東京都町田市の無職、王瀚群被告(24)=別の同法違反罪で起訴=を再逮捕した。容疑を認めている。
警視庁は5月以降、在留カードなどを偽造、販売していた中国籍の男2人を逮捕。押収したパソコンの解析などから、王容疑者が2人から偽造在留カードを購入していたことが分かった。2人は中国から指示を受けていたとみられる。パソコンからは運転免許証など約1万件のデータがあり、警視庁は中国人グループが偽造在留カードなどを販売し、不正に利益を得ていたとみて捜査している。
再逮捕容疑は、偽造在留カードを使う目的で、3月31日~4月1日ごろ、王容疑者の氏名や顔写真が印刷された偽造在留カード1枚を自宅に発送させ、受け取ったとしている。
女性に睡眠薬を飲ませてわいせつな行為をしたとして、警視庁新宿署は不同意わいせつの疑いで、千葉県柏市手賀の杜の無職、岡陽介容疑者(45)を逮捕した。「体を触るために睡眠薬を飲ませたわけではない」と容疑を一部否認している。
逮捕容疑は5月4日夜、東京都新宿区の飲食店で20代女性に睡眠薬を入れた飲み物を飲ませた上で、近くの水たばこバーの個室内でわいせつな行為をしたとしている。
新宿署によると、2人は4月ごろからマッチングアプリで連絡を取り始め、事件当日に初めて会った。岡容疑者は女性が離席した隙を狙い、持参したしょうゆ差し内の睡眠薬を溶かして飲み物に混入させたという。被害に気が付いた女性が交番に被害を訴え、防犯カメラの映像などから岡容疑者の関与が浮上した。
東京ドームで3月に開催されたMLB東京シリーズの米大リーグ・ドジャースの開幕戦などの観戦チケットを不正に転売したとして、警視庁生活安全特別捜査隊は入場券不正転売禁止法違反の疑いで、通信機器販売会社社長、篠田潤容疑者(42)=名古屋市北区八代町=を逮捕した。「転売すれば稼げると思った。会社が赤字続きで、転売利益は借金返済に充てた」と容疑を認めている。
逮捕容疑は2月、業として、興行主の同意を得ず、神奈川県などの20~70代女性3人に、ドジャースとカブスの開幕戦などのチケット計6枚(定価計約11万5千円)を、計356万円で転売したとしている。
生特隊によると、篠田容疑者は開幕戦などのチケットを法人名義で購入し、転売サイトで16枚を定価の最大約42倍の価格で転売。計約436万円の利益を得たという。同隊は「チケットの不正転売は処罰される可能性があるほか、購入する側も違法行為を助長することになる」として注意を呼びかけている。
23日午後7時半ごろ、大阪府貝塚市の南海本線貝塚駅近くの踏切で、和歌山市発難波行きの特急電車(8両編成)が車に衝突した。車を運転していた女性はその場で死亡が確認された。事故の影響で、南海は午後10時現在、春木-貝塚間の運転を見合わせている。
大阪府警貝塚署などによると、遮断機が下りた後に車が遮断棒を突き破って踏切内に進入し停車。その直後に特急が衝突した。特急の乗客・乗員にけがはなかった。
車内からは府内の50代女性の運転免許証が見つかっており、同署が女性の身元や事故の詳しい原因などを調べている。
23日午後0時5分ごろ、大阪府交野市幾野の木材加工会社の工場で「従業員が機械に頭を挟まれて意識がない」と119番があった。従業員の男性(54)が病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。
大阪府警交野署によると、休憩時間の正午になっても男性が現れないことから別の従業員が様子を見に行くと、ベニヤ板を切断する機械の台の下に潜り込み、動いている装置と壁の間に頭を挟まれている男性を発見した。
工場内のカメラには午前11時ごろ、1人で機械を操作していた男性が台の下をのぞき込む様子が映っており、交野署は労災事故とみて調べている。
人の4千倍以上ともいわれる嗅覚を持つ警察犬は「ハナ(鼻)の捜査官」とも呼ばれる。当初は防犯活動などに活用されていたが、犯罪捜査に対象が拡大された。
外部で訓練を受け、警察の要請で出動する「嘱託警察犬」に対し、昭和31年、警視庁が全国で初めて直接飼育、管理する「直轄警察犬」を導入した。同庁には現在、シェパードとラブラドール・レトリーバー計約30頭が在籍し、年間700件ほど出動している。
直轄警察犬は、血統などから適性を判断し、子犬を民間から購入して育成する。ハンドラーと1対1のペアを組んで訓練し、基本となる指示を守る服従、足跡追及、臭気選別、薬物、銃器、血液捜索など各項目での検定合格が求められる。
24時間体制で訓練所に待機し、現場からの要請に応じて適正なペアが出動する。スムーズに出動できるよう、排便の時間と場所を指定する訓練も実施。数年程度活動した後、加齢による能力低下や病気などで徐々に出動が減り、訓練所で最期を迎えることが多い。
大阪府貝塚市の南海本線貝塚駅近くの踏切で23日夜、特急電車が車と衝突し、車を運転していた女性が死亡した事故で、南海電鉄は24日未明、一部区間で見合わせていた運転を23日午後11時15分ごろから難波-和歌山市間の全線で再開したと明らかにした。
南海によると、この事故で上下計78本が春木-貝塚間で運休したほか、最大約4時間20分にわたって遅れが生じ、約2万7千人に影響した。
事故は23日午後7時半ごろ発生。大阪府警貝塚署などによると、踏切の遮断機が下りた後、車が遮断棒を突き破って踏切内に進入し停車。その直後に和歌山市発難波行きの特急電車(8両編成)が車に衝突した。特急の乗客ら約500人にけがはなかった。
【台北=西見由章】台湾東部の花蓮県で23日、台風18号に伴う豪雨で山間部のせき止め湖から水があふれ出し、下流で洪水が発生した。消防当局によると24日午前6時(日本時間同7時)までに14人が死亡、124人が行方不明となり、34人が負傷した。
死者と行方不明者が集中しているのは花蓮県光復郷で、救出を求める通報が相次いだ。
地元の花蓮県や周辺県市の消防当局から消防車や救急車など計135台、人員約330人が出動し、救助活動にあたっている。
台風18号は台湾南方のバシー海峡を通過し、台湾本土には上陸しなかったものの、東部や南部を中心に豪雨となった。気象当局によると、洪水の原因となった花蓮県のせき止め湖では22~25日の4日間に計700~800ミリの降水量があったとみられるという。
台湾メディアによると、花蓮県光復郷周辺の民家では1階から2階が水没する被害が相次いだ。洪水により一部の道路や橋が損壊しているもようだ。
兵庫県尼崎市内の路上で20代男性を無理やり車に乗せて監禁したなどとして、兵庫県警捜査1課などが、逮捕監禁容疑などで、暴力団関係者の男ら10人を逮捕していたことが24日、捜査関係者への取材で分かった。男性は既に死亡しているとみられるが、遺体は見つかっていない。県警は男性を殺害したとする殺人容疑で、10人のうち数人を同日中にも再逮捕する方針。
捜査関係者によると、逮捕監禁容疑などで逮捕されたのは大阪市内を拠点とする指定暴力団の関係者ら。男らは共謀し、6月11日夜、尼崎市内の路上で男性を無理やり車に押し込んで連れ去り、監禁するなどした疑いがもたれている。
男性は路上を走って逃げたものの、男らに追いつかれ、激しい暴行を受けた後、車に押し込まれたとみられる。
男性の叫び声を聞いた近隣住民が110番。警察官が現場へ到着したときには、既に車は走り去っており、男性はそのまま行方が分からなくなっていた。その後の県警の捜査で、男性が連れ去られた後に殺害された疑いが浮上したという。
県警は両者の間で、何らかのトラブルがあったとみて捜査している。
金属バットなどを用意して集まったとして、警視庁暴力団対策課は、24日、凶器準備集合の疑いで、職業不詳の小林剣心容疑者(21)=神奈川県綾瀬市=ら6人を逮捕した。暴対課は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は4月28日未明、相模原市のコンビニエンスストアの駐車場や、東京都調布市内のマンション付近で、金属バットやスタンガンなどを準備して、集まったとしている。
暴対課によると、小林容疑者らは神奈川県綾瀬市を中心に活動地盤とする匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)のメンバーとされ、違法薬物関連でトラブルになった人物に報復するために集まったとみられる。逮捕された6人を含め約10人が集まっていたといい、残るメンバーの行方も追っている。
小林容疑者らは事件当日、トラブルとは無関係の男性(26)の頭を殴って、スマートフォンを奪うなどした強盗傷人事件にも関与した疑いもあるという。暴対課はトラブルになった人物と男性を見間違えて襲撃したとみている。
大阪府岸和田市発注の工事を巡る汚職事件で、別の工事でも入札の最低制限価格を漏らしたほか、賄賂として計1900万円を受け取ったとして、大阪地検特捜部は24日、収賄と官製談合防止法違反などの疑いで、前市長の永野耕平容疑者(47)を再逮捕した。当時、市長在任中だった。特捜部は永野容疑者の認否を明らかにしていない。
【妻も同席】永野耕平市長(当時)の不倫釈明会見の様子
逮捕容疑は令和3年8月と昨年5月の工事の入札で、非公表の最低制限価格を業者側に漏らして落札させた。さらに便宜供与に対する謝礼などの意味合いで、業者側から昨年11月までに3回にわたり計1900万円を借り受け、賄賂を受け取ったとしている。
また特捜部は同日、3年5月の「岸和田競輪場施設整備工事」で最低制限価格を漏らしたとして、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪で永野容疑者を起訴した。今月4日に逮捕し、この日が勾留期限だった。
特捜部によると、3件の工事は計2社が落札しているが、2社を実質的に経営するのは同じ人物。永野容疑者はこの人物に価格を漏らした疑いがある。
永野容疑者は昨年11月、女性から性的関係を強要されたとして訴訟を起こされ、その後に解決金500万円を支払う内容などで和解していたことが発覚。女性との不倫は認めた。2度の不信任決議の可決を経て失職し、今年4月の出直し市長選では「市民の信頼回復」を掲げた佐野英利市長に敗れた。
車を運転中に窓から手を伸ばして横を走るバイクを押して転倒させたとして、大阪府警西淀川署は24日、殺人未遂の疑いで、大阪市西淀川区佃の自営業、土山法光容疑者(38)を逮捕した。「文句を言ったが、手で押してはいない」と容疑を否認している。
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逮捕容疑は2月24日午前、大阪市西淀川区の国道を軽乗用車で運転中、運転席の窓から手を伸ばして、横を走るバイクの男性(32)を転倒させ、足の骨を折るなど全治約4カ月の重傷を負わせたとしている。
同署によると、付近を走行していた車のドライブレコーダーには事件の一部始終に加え、事件前に土山容疑者の車がバイクを後ろからあおる様子も写っていたといい、同署が詳しい経緯を調べている。
兵庫県宝塚市の住宅で令和2年6月、家族ら4人がボーガン(クロスボウ)で撃たれて死傷した事件で、殺人などの罪に問われた無職、野津英滉(ひであき)被告(28)の裁判員裁判が25日、神戸地裁で始まる。事件発生から5年。ボーガンを規制対象に加える改正銃刀法が成立する大きなきっかけともなった。裁判での主な争点は責任能力の程度と量刑になるとみられ、突然家族を次々と撃った野津被告が何を語るのかが注目される。
起訴状によると、野津被告は2年6月4日、自宅で同居していた祖母の好美さん=当時(75)=と弟の英志さん=同(22)=、別居する母親のマユミさん=同(47)=の頭部をボーガンで撃って殺害したほか、伯母(55)にも首に矢を命中させて大けがをさせたとしている。
捜査関係者によると、野津被告は逮捕後に「家族全員を殺すつもりだった」などと供述。ネットでボーガンを購入し、数時間のうちに計5本の矢を至近距離から撃ったとみられるが、詳しい動機などは明らかになっていない。同居する祖母と弟を撃った後、自宅を訪れた伯母、その後に入ってきた母親の順番で襲ったなどと説明し、矢は祖母と母親の頭に1本ずつ、弟の頭部に2本がささっていた。伯母は首に1本を受けて重傷を負った。
神戸地検は責任能力を調べるため鑑定留置し、3年1月に殺人と殺人未遂の罪で起訴。4年に公判期日がいったん指定されたが、野津被告の心身の不調を理由に取り消されていた。今回の裁判員裁判の期日は計7回で、判決は10月31日に言い渡される予定。
この事件をきっかけに、3年6月にボーガンの所持を原則禁止する改正銃刀法が成立し、所持は都道府県公安委員会の許可制となっている。
自宅で乾燥大麻を所持したとして俳優の清水尋也被告(26)が逮捕・起訴された事件で、共同で乾燥大麻を所持したとして、警視庁は、麻薬取締法違反の疑いで、俳優の遠藤健慎容疑者(24)=東京都世田谷区=とアルバイトの20代の男を逮捕した。警視庁は、男が大麻を購入していたとみて、入手ルートの解明を進める。
捜査関係者によると、遠藤容疑者は「(清水被告の)家で大麻のようなものを見ましたが、私のものではありません」と容疑を否認。男は「私が売人と連絡を取って大麻を買った。清水被告や遠藤容疑者らと吸っていた」などと供述しているという。
遠藤容疑者と男の逮捕容疑は1日ごろ、東京都杉並区の清水被告の自宅で、乾燥大麻約0・4グラムを清水被告らと所持したとしている。
公式サイトなどによると、遠藤容疑者は令和3年のNHKの大河ドラマ「青天を衝け」に出演したほか、平成30年に映画「ミスミソウ」で清水被告と共演した。
保険会社を巡る不祥事が後を絶たない。先日も日本生命保険(日生)の社員が出向先の三菱UFJ銀行から内部情報を不正に持ち出していたことが発覚。中古車大手の旧ビッグモーター(BM)による保険金不正請求問題では、保険代理店を兼ねていたBMと大手損保のなれ合いの構図が露呈した。警察が今年摘発した元火災保険調査員による放火事件では、業務委託していた各損保の対応が問われたが、当事者意識はどこか希薄だ。
【ひと目でわかる】岡山で起きた保険金目的の放火事件の構図
元火災保険調査員による放火事件は今年4月以降、岡山、青森、岐阜の各県警が順次摘発したことで明るみに出た。保険調査会社の最大手「損害保険リサーチ」に令和5年まで在籍していた深町優将(まさのぶ)被告(54)らが保険金目的で各地の古民家に放火したとされる。深町被告はかつてエースと呼ばれるほど火災保険の申請に精通。その知識を悪用した一連の事件は業界に衝撃を与えた。
深町被告は損保リサーチ在籍時や独立後の会社で、いずれも東京に本社を置く東京海上日動火災保険▽あいおいニッセイ同和損害保険▽三井住友海上火災保険▽損害保険ジャパン-など大手からの調査業務も数多く担当。だが報道を受けてからも各社の対応は鈍く、深町被告が関連する過去の調査業務を再調査すると表明したのは、最も早い東京海上で最初の逮捕から約2カ月後の6月下旬だった。
現在までにあいおいを除く3社が再調査を終え、同社も間もなく完了する見込み。対象件数は東京海上と三井住友海上だけで計約580件に上った。損保ジャパンは件数を非公表とした。
再調査を終えた3社いずれも、結論として「過去の案件に問題はなかった」としているが、判断の根拠など詳細は「業務に支障が出る」と明らかにしていない。
ある大手損保の担当者は「あくまで調査員だった一個人の不正。損保リサーチの組織的な問題ではない」とし、業界全体の信頼にかかわる問題とはみていない。
確かに岡山、青森両県での犯行は損保リサーチ退職後だったため、同社も業務委託契約をしている全国の調査員に「事件は退職後に発生した」とするメールを送信し、水面下で火消しを図った。しかし、岐阜県警が今月11日に発表した深町被告の逮捕容疑は損保リサーチ在籍時のものだった。
もともと損保リサーチは各保険会社の共同出資で半世紀前に設立され、社長は東京海上、三井住友海上、損保ジャパン出身者らの持ち回りだ。
【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る不正疑惑を捜査する特別検察官チームは23日未明、教団に便宜を図ってもらう目的で尹前政権側に金品を提供したとして、政治資金法違反などの疑いで、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)を逮捕した。
ソウル中央地裁が22日、特別検察官が請求した逮捕状の発付の可否を判断する審査を行った結果、「証拠隠滅の恐れがある」などとして発付を認めた。特別検察官は、教団と尹前政権など政界との癒着疑惑の全容解明を目指す。
教団を巡っては、日本で高額献金が社会問題化したほか、2022年7月の安倍晋三元首相暗殺事件をきっかけに自民党との不明朗な関係が注目を集めた。
22日に地裁の審査に出廷した韓氏は「韓国の政治に関心はなく、政治について知らない」と主張。おおむね容疑を否認したという。「国中を騒がせて恐縮している」とも述べたという。
韓氏は、教団の元幹部と共謀し、2022年1月に尹氏の最側近で保守系最大野党「国民の力」重鎮の権性東(クォン・ソンドン)国会議員=政治資金法違反容疑で逮捕=に政治資金1億㌆(約1060万円)を不正に供与。同年4~7月には、あっせん収賄罪などで起訴された金氏に高級ブランド品を贈り、教団の事業で便宜を図るよう求めた疑いが持たれている。
韓氏と教団側は、逮捕された元幹部による個人的な逸脱行為であり、教団の介入はなかったと主張している。
韓氏は心臓手術を受けたことを理由に3回にわたって出頭要請を拒んだ末、17日に出頭して取り調べを受けた。
歯や口腔(こうくう)内の情報から、大規模災害などで遺体の身元特定を行う歯科法医学者。日本大歯学部の網干博文特任教授(68)が本格的に志した原点は、今年発生から40年を迎えた日航ジャンボ機墜落事故だった。以来、国内外の現場で犠牲者の身元を特定してきた。「地味な分野だが、なくてはならない学問だ」。使命をかみしめつつ、現在も後進の育成に携わる傍ら、先の大戦の日本人戦没者の遺骨収集にも、その経験を生かしている。
【写真】日航ジャンボ機の墜落現場で、自衛隊員によって運び出される犠牲者の遺体=昭和60年8月、群馬県
戦後40年を迎えた昭和60年の8月12日、520人もの犠牲者を出した日航ジャンボ機墜落事故が発生。その4、5日後の夕暮れだった。遺体安置所となった群馬県藤岡市の体育館に足を踏み入れると、全ての窓に暗幕が貼られ、漂う線香の煙や薬剤の臭い、死臭でむせ返るよう。警察官や医師ら数百人がうごめき、騒々しさに包まれていた。
「あの現場が全ての始まりだった」。単独機として今も世界史上最悪である航空機事故の身元特定は、国内の歯科法医学にも、自身にも大きな影響を与えた。
遺体の検視や身元特定には多数の警察官や医師、歯科医師、看護師らが従事した。特に群馬県では全国に先駆けて「県警察医会」を結成していたこともあり、組織的に身元特定を実施。歯の治療痕などの記録「デンタルチャート」で約15%の身元が判明し、歯科所見の有用性が広く社会に知られるきっかけになった。
事故発生後、静岡県滞在中に教授に呼び戻される。2カ月前に歯科医の国家試験に合格し、本格的に歯科法医学の道を進むため大学院に進学したばかりだった。日本法医学会の依頼で群馬県への派遣が決まり、医局の先輩らと藤岡市の体育館に向かった。
遺体は、墜落現場となった同県上野村の「御巣鷹の尾根」からヘリコプターで運ばれた。警察官や医師、歯科医師がチームを作り、検視と身元特定が進められる。看護師らが遺体を丁寧に拭くことから始め、特定作業は連日深夜まで及んだ。遺族が持参した生前の歯科のカルテやエックス線写真と照合し、特定した。
「僕は歯科医師らの手伝いだったが、損傷が激しい遺体を目にするのも初めて。臭いと喧噪(けんそう)、全てがショックだった」
東京都世田谷区で韓国籍の女性が殺害された事件で、警視庁人身安全対策課は22日、女性宅周辺に押しかけたなどとして、ストーカー規制法違反と邸宅侵入の疑いで、交際相手の韓国籍、パク・ヨンジュン被告(30)=殺人罪で起訴=を再逮捕した。容疑を一部否認している。
再逮捕容疑は8月29日~9月1日、7回にわたり、韓国籍の自営業、バン・ジ・ウォンさん=当時(40)=の自宅マンションのエントランスや廊下などに侵入したほか、バンさんから拒否されたにもかかわらず、10回にわたりメッセージや電話をしたとしている。また、事件当日の1日、バンさんが訪れていた世田谷区の事務所付近で約5時間待ち伏せしたとしている。
2人は別れ話をめぐってトラブルになり、8月29日以降、バンさんから相談を受けた警視庁はパク容疑者に口頭で指導。その後、パク容疑者に帰国を促し、捜査員が成田空港まで送り届けていたが、出国しなかった。
パク容疑者は9月1日、事務所の外に出てきたバンさんの首をナイフで切りつけ、死亡させたとして、2日に殺人容疑で逮捕されていた。
東京地検は22日、パク容疑者を殺人罪で起訴した。
警視庁人身安全対策課は「被害者の安全確保を最優先とした対応に努めていきたい」とした。
美容室に侵入し、金庫から現金を盗んだなどとして警視庁捜査3課は、建造物侵入や窃盗などの疑いで、住所不定、無職の村上真一容疑者(38)を逮捕した。「生活費やガールズバーに使った」などと容疑を認め、「東京、大阪、愛知で100件ぐらいやった」などと供述しており、詳しい経緯を調べている。
逮捕容疑は、8月28日午前1時半ごろ、東京都中央区銀座の美容院やエステサロンに侵入し、現金約30万円を盗むなどしたとしている。
捜査3課によると、村上容疑者はビルに設置された集合ポストに手を入れて破壊し、中にあった鍵を使って侵入したという。8月下旬以降、美容院などを狙った同様の窃盗事件が連続して発生しており、警戒していた池袋署員が村上容疑者を池袋駅東口交番付近で発見し、身柄を確保した。
夜景スポット近くで未成年4人に因縁を付けて現金を奪ったとして、大阪府警枚岡署は22日、強盗の疑いで、大阪市都島区中野町の無職、安ケ平陽真容疑者(20)と双子の弟、昊雅(こうが)容疑者(20)ら男5人を逮捕したと発表した。5人は、大阪市鶴見区を拠点とする半グレ「Tグループ」のメンバーを自称しているという。
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逮捕容疑は共謀し、7月19日未明、大阪府東大阪市東豊浦町の路上で、男性(16)ら4人に因縁を付けて暴行した上、現金計1万9千円を奪ったなどとしている。同署は認否を明らかにしていない。
同署によると、現場は東大阪市と奈良県生駒市の境に位置する夜景スポット「暗峠(くらがりとうげ)」近く。被害男性4人が夜景を見るためにバイクで通行中、両容疑者らに止められ、因縁を付けられたという。
自民党の小泉進次郎農林水産相は20日の総裁選出馬会見で、昨年9月の総裁選出馬会見で「知的レベルの低さ」と言及したフリーの田中龍作記者から再び挑発的な質問を受けた。田中記者は小泉氏を「詐欺師ではないか」と質問。同氏が「解党的出直し」を掲げてはいるが、派閥パーティー収入不記載事件などに関与した議員は離党しなければ達成できないという理屈だという。
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田中氏は「重ねて失礼な質問をする」と述べたうえで、小泉氏を「詐欺師」だと指摘し、「政治腐敗させた悪い人が残って、どうして解党的出直しできるのか」と発言。「裏金議員、統一教会系議員、モリカケに関わった議員に離党勧告するくらい言わないのか」と持論を展開した。
小泉氏は「昨年は『知的レベルが低い』、今年は『詐欺師』…。いまの論理で詐欺師というなら、今回の候補者はすべて詐欺師に当たるのではないか」と反論したが、田中氏は「そうです。詐欺師の親玉を目指している」と語った。
これに対して、小泉氏は「田中さんのように厳しい目を自民党に向けている人がいることを自覚しなければならない」と述べ、「田中さんのような方の声もきく。信頼を積み上げていく姿を田中さんにも見ていただきたい」と柔らかく対応した。
一方、田中氏は党重鎮らの名前を挙げて「(党内に)残しておいてどうして原点回帰ができるのか」と叫んでいた。
田中氏は昨年9月、小泉氏が総裁選への立候補を表明した記者会見で「首相になれば知的レベルの低さで恥をかく」と質問した。公的な場での発言として相手に礼を失した表現といえるが、小泉氏は「このような指摘を受けたことを肝に銘じて、これから『あいつマシになったな』と思ってもらえるようにしたい」と切り返し、昨年は話題に上がったやり取りとなった。
今回の会見で田中氏は「最初から手を挙げている。最前列で朝早くから並んでいる」などと不満の声を挙げた末に、司会者に「それでは」と質問を許され、「詐欺師論」を展開した。
この日は1時間という限られた記者会見のため、数多くの記者が開場時間の午前9時半に会見場に駆けつけていた。(奥原慎平)
金融庁職員らになりすまし、高齢女性からキャッシュカードを盗もうとしたとして大阪府警岸和田署は19日、窃盗未遂の疑いで私立中学教諭、山田亮容疑者(42)=横浜市港北区=を逮捕した。山田容疑者は、特殊詐欺グループの「受け子」とみられる。
逮捕容疑は共謀し、19日午前、同府岸和田市の80代女性宅に警察官や金融庁職員をかたって「特殊詐欺の被害に遭っている」などと噓の電話をかけ、キャッシュカードを受け取ろうとしたとしている。同署は認否を明らかにしていない。
同署によると、受け渡し前に詐欺の可能性に気づいた女性が110番。女性が警察官と通話中、容疑者は女性宅のインターホンを押した後に立ち去ったが、インターホンにはカメラが付いており、記録された映像から関与が浮上したという。
同居中だった交際相手の女性=当時(24)=をナイフで刺して殺害したとして、殺人などの罪に問われた東京都大田区の無職、梶川寛人被告(24)の裁判員裁判初公判が19日、東京地裁(戸苅左近裁判長)で開かれた。被告は「殺意はありませんでした。(被害者が)襲ってきたのを避けようとした結果、刺さってしまった」と起訴内容を一部否認した。
検察側は冒頭陳述で、被告は令和4年6月ごろから女性と交際を始め、9月ごろから同居。2人は頻繁に口論になり、別れ話と仲直りを繰り返していたが、被告は5年1月、寝室にいた女性を殺害したと主張した。動機については「何らかの理由」とするにとどめた。
弁護側は、被告から別れ話を切り出された女性が逆上して刃物を持ち出し、被告ともみあう中で、意図せず包丁が刺さったと訴えた。
起訴状によると、5年1月13日、東京都大田区にある被告の自宅で、女性の左胸を包丁で1回突き刺し、殺害したとしている。女性はその場で死亡が確認された。
トランプ米大統領は19日、米軍に命じ、米国に向けて麻薬を運搬しているとみられる船舶を公海上で攻撃し、男性の乗船者3人を殺害したとSNSで発表した。海域は米南方軍の管轄地域だと説明しており、中南米から米国に向かっていた船とみられる。トランプ氏が麻薬運搬船の攻撃を明らかにしたのは今月に入って3例目。
【こま落とし画像】ベネズエラから麻薬を運んでいたと米国が主張する船が攻撃を受ける様子
トランプ氏はまた、麻薬運搬船の航路は「米国国民を毒殺するための麻薬密輸ルート」だったと説明。その上で「米国内での(合成麻薬)フェンタニル、麻薬、違法薬物の販売。米国国民に対する暴力とテロを中止せよ」と強調した。
トランプ氏は今月に入り、2回にわたり南米ベネズエラの犯罪組織トレン・デ・アラグア(TdA)のものだとする船をカリブ海の公海上で攻撃したと発表。計14人を殺害したと説明していた。今回攻撃した船がベネズエラから出港したかどうかは明らかになっていない。
今月5日には米CNNテレビが、トランプ政権がTdAを壊滅させるため、同国内への攻撃を検討していると報道。米軍はカリブ海方面に展開する艦艇や戦闘機を増強しており、ベネズエラのマドゥロ大統領の失脚を促す狙いもあるとの観測も出ていた。
【ソウル=桜井紀雄】 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の金建希(キム・ゴンヒ)夫人を巡る不正疑惑を捜査する特別検察官チームは18日、尹前政権側に便宜を図ってもらう目的で金品を提供したとして、政治資金法違反などの疑いで、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁と元総裁秘書室長の逮捕状を請求した。
韓氏の逮捕状請求は2012年に総裁に就任してから初めて。裁判所が22日に逮捕状を発付するかどうかの審査を行う見通しだ。
韓氏は17日に特別検察官の事務所に出頭し、取り調べを受けた。ただ、全面的に容疑を否認している上、心臓の手術を受けたことを理由に3回にわたって出頭要請を拒んできた経緯から、特別検察官は、韓氏が捜査に協力する意思は薄いと判断したもようだ。
韓氏は、教団の元幹部と共謀し、22年1月に尹前大統領の最側近で保守系最大野党「国民の力」重鎮の権性東(クォン・ソンドン)国会議員に政治資金1億ウォン(約1060万円)を不正に供与。同年4~7月には、高級ブランド品を呪術師を通じて金夫人に贈り、教団の事業で便宜を図るよう求めた疑いが持たれている。権議員は16日に逮捕された。
参議院議員の泉房穂氏(62)が兵庫県明石市長時代に自身への問責決議案に賛成しないよう市議に強いる発言をしたのは強要未遂罪にあたるとして告発された事案で、神戸地検は19日、泉氏を嫌疑不十分で不起訴とした。地検は「捜査を尽くした結果、犯罪の成立を認めるに足りる証拠が得られなかった」としている。
泉氏が当選した今年7月の参院選に立候補していた政治団体「NHK党」の立花孝志党首(58)が選挙期間中に刑事告発し、兵庫県警明石署が8月に受理。同署は今月16日、捜査結果を神戸地検に送付していた。
金融機関の金庫に保管していた運営資金1億円余りを持ち出し着服したとして、和歌山県警新宮署は19日、業務上横領の疑いで、和歌山県串本町の「なぎさ信用漁業協同組合連合会」串本営業店の店長、新田博志容疑者(44)=同町=を逮捕したと発表した。
同署によると、店の従業員が16日、金庫から資金がなくなっているのに気づいて警察に通報。金庫には「こんな形で皆様を裏切ることになったこと、本当にごめんなさい」などと書かれた手紙が残されていたという。その後、新田容疑者は指名手配されたが、19日午前1時半ごろ、警視庁新宿署に出頭したという。
逮捕容疑は9月12~16日の間、同店の金庫に保管していた現金1億600万円を着服したとしている。
新田容疑者は容疑を認め、「個人的な借金を返済するためだった」と供述しているという。
勤務していた「フレッシュベーカリー神戸屋 高田馬場駅店」(東京都新宿区)の従業員用更衣室で、女性が着替えている姿を盗撮したとして、警視庁少年育成課は性的姿態撮影処罰法違反の疑いで、同店の元アルバイト、戸田雄介容疑者(30)=東京都中野区=を逮捕した。18日、捜査関係者への取材で分かった。「男女兼用の更衣室なのでやった。女性の着替えを見たかった」と容疑を認めている。
捜査関係者によると、戸田容疑者は2月、4回にわたり、店の事務所兼更衣室に小型カメラを設置して、アルバイトの女子大学生(19)の下着姿を撮影した疑いが持たれている。
更衣室は男女兼用で、戸田容疑者は出勤した際に部屋のカーテンレールや床に置いたリュックに、人の動きを検知して撮影する小型ビデオカメラを設置。自宅にパソコンがなかったため、カメラのマイクロSDカードを事務所のパソコンに挿して撮影した動画を再生し、スマートフォンで接写していたという。
3年ほど前からこの店で盗撮していたと話しているという。2月にパソコンに挿したカードを回収し忘れたことで、他の従業員らが映像に気付いた。同月、店を解雇された。カードには昨年11月以降、女性従業員10人以上の着替えの様子を映した、計43件の動画が記録されていたという。
男性の財布から現金約36万円を盗んだとして、警視庁愛宕署は19日、窃盗の疑いで、職業不詳で中国籍の馬場英美こと黄英順容疑者(64)=東京都足立区梅田=を逮捕した。同署は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は1月25日午前4時半ごろ、何者かと共謀の上、東京都港区新橋のビル内で、50代男性のリュックサックに入っていた財布から現金約36万円を盗んだとしている。
同署によると、新橋駅近くにいた男性を黄容疑者らがスナックに誘い、男性を酔わせる目的で3軒をはしご。3軒目を出たところ、黄容疑者が男性の前に立ちふさがり、もう一人が背後から現金を抜き取って2人で逃走したという。
2人の動きを怪しく思った男性が財布を確認して被害に気付き、110番通報。防犯カメラの捜査などから黄容疑者の関与が浮上した。同署はもう一人の行方を追っている。
【テルアビブ=佐藤貴生】パレスチナ自治区ガザ北部の最大都市、ガザ市の制圧を進めるイスラエル軍は18日、市中央部に向けて戦車を進入させた。報道官によると、投入した多数の兵士が市の周辺部から内部に移動している。インターネットや電話が数時間不通となり、イスラム原理主義組織ハマスを標的とする地上作戦が近く本格化するとの観測もある。
ロイター通信は18日、ガザ当局の情報として、イスラエル軍の攻撃で過去24時間に少なくとも住民85人が死亡し、大半はガザ市における犠牲者だと伝えた。2023年10月の戦闘開始以降の死者数は6万5千人を超え、栄養失調や飢餓による死者は少なくとも435人に達した。ガザ市にはなお数十万人の住民が避難せず残っており、人道危機の深刻化が懸念されている。
18日にはイスラエルが占領するヨルダン川西岸とヨルダンの境界にある検問所の周辺で銃撃事件があり、イスラエル兵2人が死亡した。容疑者はガザへの支援物資を積んだトラック運転手の男で、その場で射殺された。イスラエル軍のザミール参謀総長は、捜査が終わるまでヨルダンからの支援物資搬入を停止するよう政府に求めた。
営利目的で向精神薬を譲渡したなどとして、警視庁葛西署は17日、麻薬取締法違反(営利目的譲渡など)の疑いで、千葉県柏市北柏の無職、林由美子容疑者(52)を逮捕した。「悪いこととは知りながら薬を求める人がいたから販売を続けた」などと供述している。
逮捕容疑は令和6年8~10月ごろ、X(旧ツイッター)を通じて知り合った3人に、向精神薬の「ゾルピデム」などを含む錠剤180錠を計2万8330円で譲り渡したなどとしている。
葛西署によると、薬を受け取った人の知人が葛西署に情報提供したことで事件が発覚。林容疑者はインターネット上のフリーマーケットサイトで、向精神薬などを入手していたといい、葛西署は、林容疑者が令和4年10月~6年10月、約50人に計約1千万円で転売していたとみて、捜査を進めている。
三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客が預けた金品を盗んだとして、窃盗罪に問われた元行員、山崎由香理被告(47)の論告求刑公判が18日、東京地裁で開かれ、検察側は「前代未聞の犯行だ」として懲役12年を求刑した。
被告はこれまでの被告人質問で、「感覚がまひし、犯行をやめられなかった」と供述。外国為替証拠金取引(FX)や競馬で多額の借金をし、平成25年に個人再生手続きを取った上、当時の夫と今後はFXなどをしないと「誓約書を交わした」が、夫に隠れて「29~30年に再び始めた」と話していた。
起訴状によると、令和5年3月~6年10月、三菱UFJの店舗の貸金庫から金塊29個や、現金約6145万円などを窃取したとしている。
国に無許可で運送業を営んだとして、大阪府警交通指導課は18日、貨物自動車運送事業法違反(無許可経営)の疑いで、いずれも大阪府茨木市内の自営業、久保修三容疑者(74)と長男の行平容疑者(46)を逮捕、送検したと発表した。容疑を認め、「雇われるより自分で運送業をした方が稼ぎがいい」などと供述しているという。
2人の逮捕、送検容疑は、共謀し、国の許可を受けずに今年3~6月、大型トラックで鉄筋などを有償で運送したなどとしている。
同課によると、両容疑者は平成19年ごろから「久保運送」と称して、無許可で運送をする「白トラ」行為を続けていたという。主に建設工事の資材の鉄筋や型枠を運んでいたといい、京都府内の市役所や大阪府内の小学校などの公共工事にも出入りしていた。
行平容疑者は「相場よりも1割ほど安く運んでいた」と説明しており、平成30年から令和6年の7年間で計約1億8千万円を売り上げていたとみられる。
18歳未満の少女にわいせつな動画を撮影、送信させたとして警視庁滝野川署は児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで配送アルバイト、田辺滉太容疑者(31)=埼玉県富士見市関沢=を逮捕した。「相手が未成年の女性だったかはわかりません」と容疑を一部否認している。
逮捕容疑は4月19日~5月2日、SNSで知り合った10代の少女が18歳未満だと知りながら、少女にわいせつな行為をしている動画をスマートフォンで撮影させ、計6回、動画を送信させたなどとしている。
少女の母親が同署に被害を相談したことで発覚。SNSの登録情報などから同容疑者の関与が浮上したという。
警察官を装い、男性から現金300万円をだまし取ったとして警視庁赤羽署は詐欺と窃盗の疑いで住所不定、無職、長尾雄太容疑者(24)を逮捕した。詐取金を受け取る「受け子」とみられる。調べに対し「お金に困ってSNSで『闇バイト』などと検索して応募した」と供述し、容疑を認めている。
逮捕容疑は令和6年9月2日午前11時ごろ、何者かと共謀のうえ、北区の70代男性宅に警察官をかたり、「あなたのカードが偽造されてお金を引き落とされている。裁判所で手続きをすればお金が戻るので、カードを渡してほしい」と噓の電話をかけ、男性宅でキャッシュカード5枚を詐取。現金計300万円を引き出したとしている。
同署によると、カードを渡した後、かかってきた電話の内容を不審に思った男性が警察に相談し発覚。防犯カメラの映像などから同容疑者の関与が浮上した。
韓国の特別検察官の捜査チームは18日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁の逮捕状を請求した。裁判所は近く、逮捕状発付の可否を検討する。聯合ニュースが伝えた。
特別検察官は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏が教団元幹部から高額ネックレスを受け取った疑いなど、尹前政権と旧統一教会の癒着疑惑を捜査してきた。
韓国メディアによると、韓氏は、教団への便宜を図ってもらう目的で、尹前政権側に金品を提供した疑いがあり、捜査チームは17日に韓氏を事情聴取していた。この際、韓氏は「金夫人に物品やカバンを渡したことはない」と容疑を否認していた。
捜査チームは18日、教団と政界のつながりを調べるため、保守系野党「国民の力」党本部の家宅捜索を試みた。党員名簿の押収を図る捜査員に対し、党側は個人情報に当たるとして抵抗した。(ソウル支局)
東京・新宿のホテル客室内で、外国人男性の財布から現金を盗んだとして、警視庁保安課は窃盗の疑いで、新宿区西新宿の無職、青柳美結容疑者(21)を逮捕した。「盗んだお金は家賃や食費として使うつもりだった」と容疑を認めている。
【写真】女性が並ぶ「立ちんぼ公園」と呼ばれる大久保公園前。全体的に若く、ルックスもいい
逮捕容疑は7月、ホテル客室内で、ネパール人留学生の20代男性の財布から、現金3万6千円を盗んだとしている。
同課によると、青柳容疑者は新宿・歌舞伎町の大久保公園周辺で売春の客待ちを行い、声をかけてきた男性がホテルでシャワーを浴びている間に、財布から現金を抜き取ってホテルを出たという。売春で得た金はホストクラブでの遊興費などに充てていたという。
大久保公園周辺には、買春のために訪れる外国人も増えており、買春を巡って外国人男性から「金を盗まれた」などの通報が複数寄せられていた。ネパール人男性は「自分の国では売春婦が立っている光景は考えられず、交渉すれば性交ができるのかと興味があった」と話しているという。
大阪府茨木市の解体工事中のアパートで今月13日に見つかった白骨遺体について、大阪府警捜査1課は16日、司法解剖の結果、遺体は50~60代の女性で死後十数年以上が経過しているとみられると発表した。女性は、アパートの床下から見つかったといい、府警は死体遺棄事件の可能性も視野に詳しい経緯を調べている。
捜査1課によると、司法解剖の結果、女性の死因は不詳。女性は身長約150センチで全身白骨化していたといい、目立った外傷はなかった。
遺体は、今月13日午後2時40分ごろ、茨木市下中条町のアパート解体現場で、作業中だった男性が発見。アパートは2階建てで、計8部屋あったが現在は居住者がおらず、遺体は1階の元居住スペースを解体中に見つかったという。
中国人相手に日本人女性を売春させたとして、大阪府警生活安全特別捜査隊は17日、売春防止法違反(周旋)容疑で大阪市西淀川区中島の風俗店店長、グアン・ボー容疑者(32)=中国籍=ら店関係者3人を逮捕したと発表した。グアン容疑者は「女の子に(売春を)指示していない」と容疑を否認しているという。
府警によると、グアン容疑者は中国人旅行客や在日中国人を主な客とするデリバリーヘルス「阪崎屋」の店長。十数人の女性を雇っていたが、いずれも日本人だった。
女性を派遣する先はホテルや相手の自宅が多かったが、民泊施設も含まれていた。同店はデリバリーヘルス店として届け出ていたものの、実際には許可されていない行為を女性にさせており、中国人の間で口コミで広がっていたという。
グアン容疑者の逮捕容疑は共謀し、5月上旬~7月中旬、20~30代の中国人男性3人に対し、日本人女性を売春の相手として指定の場所まで送り届けたとしている。ほかに逮捕されたのは中国籍の男(31)と日本人の男(58)でいずれもドライバー役とみられる。
【ソウル=桜井紀雄】韓国の特別検察官の捜査チームは17日までに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から不正な政治資金を受け取ったとして、政治資金法違反の疑いで、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の最側近で保守系最大野党「国民の力」の重鎮、権性東(クォン・ソンドン)国会議員を逮捕した。ソウル中央地裁が「証拠隠滅の恐れがある」として逮捕状を発付した。
特別検察官は尹氏の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏が教団元幹部から高額ネックレスを受け取った疑いなど、尹前政権と旧統一教会の癒着疑惑を捜査してきた。
国会議員には不逮捕特権があるが、国会が11日、革新系与党「共に民主党」主導の下、逮捕同意案を可決した。尹前政権に関連した一連の不正疑惑捜査で現職議員が逮捕されたのは初めて。
一方、教団トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁は17日、特別検察官の事務所に出頭した。取り調べが行われる見通し。韓氏は出頭要請を3回拒み、拘束令状の請求が検討されていた。権氏の逮捕と韓氏の出頭で癒着疑惑の捜査に弾みがつくとみられる。
権氏は、尹氏が当選した大統領選前の2022年1月、教団元幹部の男=請託禁止法違反罪などで起訴=を通じ、教団が組織票を動員する見返りに、当選後に便宜を図るよう求められ、1億㌆(約1060万円)を受け取った疑いが持たれている。韓氏の不正賭博疑惑に関する捜査情報を教団側に漏らした疑いもある。権氏は全面的に容疑を否認している。
いすに腰掛け空を見上げると、高くそびえ立つ木の柱とパーゴラに囲まれた静かな空間が広がる。「知識の庭」をテーマにした大阪・関西万博のウズベキスタンパビリオンの屋上に広がる光景だ。
同館の敷地は、中央アジアの国々のお守り「トゥマール」と同じ三角形。展示は革新性、持続可能性、教育を伝える「根」の部分から始まり、知の旅の最後に屋上の「庭」にたどり着く。
古くから文化交流や社交の場となっていたというウズベキスタンの庭園。パビリオンの庭には大阪・南河内や大分県日田市など西日本の9地域から集められたスギが使われ、ウズベキスタンの精神と日本の木材が融合した空間だ。ゆっくりと未来に思いをはせるひと時を味わってみてはいかがだろうか。(南雲都)
【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との癒着疑惑を捜査する特別検察官チームは17日、出頭した教団トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)を政治資金法違反などの疑いで取り調べた。今後、韓氏を逮捕するかどうか判断する。
一連の癒着疑惑で韓氏が取り調べを受けるのは初めて。韓氏は健康上の理由で3回にわたって出頭要請を拒んできた。
教団元幹部=請託禁止法違反罪などで起訴=が不正に尹前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏に高額ネックレスを贈ったほか、2022年の大統領選で尹氏の最側近で最大野党「国民の力」重鎮の権性東(クォン・ソンドン)国会議員に組織票を動員する見返りに便宜供与を求め、政治資金1億ウォン(約1060万円)を渡した疑いが持たれている。
特別検察官は韓氏の承認の下で行ったとみている。教団は元幹部の個人的逸脱行為で韓氏の関与はないと主張している。
韓氏の出頭に先立ち、特別検察官チームは政治資金法違反の疑いで権氏を逮捕した。国会議員には不逮捕特権があるが、国会が11日、逮捕同意案を可決。裁判所が16日、証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕状を発付した。
一連の癒着疑惑捜査で現職議員が逮捕されたのは初めて。権氏は韓氏の不正賭博疑惑に関する捜査情報を教団側に漏らした疑いもある。権氏は容疑を全面否認している。
ガールズバー従業員の女性=当時(18)=をナイフで切りつけ殺害したとして、殺人罪に問われた千明(ちぎら)博行被告(50)に対する裁判員裁判の判決公判が17日、東京地裁で開かれた。福家康史裁判長は「強い殺意に基づく執拗、残虐な犯行」として、懲役19年(求刑懲役20年)の判決を言い渡した。
福家裁判長は判決で、被告が女性の勤務していた店に約7時間滞在した後に犯行に及んでいることから、「綿密な計画に基づく犯行だったとはいえない」と指摘。一方で、被告が被害弁済をしようとしていない点や、反省が見られないことから、同種の事案の中でも重い量刑が妥当とした。
弁護側は、被告の好意を利用して来店を促し、金銭の要求を繰り返していた女性にも落ち度があると主張したが、福家裁判長は、被告と女性の年齢差を指摘。約30歳年上の被告は「十分な大人」であり、女性は関係を絶とうとしていたことから、「斟酌することはできない」として退けた。
判決によると令和6年10月27日早朝、店内で接客していた女性をナイフで切り付け、殺害した。
16日午後4時20分ごろ、兵庫県伊丹市森本のリサイクル会社敷地内で、男性従業員(52)が倒れているのが見つかり、約1時間半後に搬送先の病院で死亡が確認された。当時発生していたNTT西日本の通信障害の影響で、救急要請が約15分遅れた可能性があるという。
兵庫県警伊丹署によると、同社社長が屋外で倒れている男性を発見、同日午後4時22分に119番したがつながらなかったという。同26分に110番で「従業員が倒れて意識がない」と通報。発見から約15分後の同37分に同署が加入電話で消防に通報した。救急要請の遅れと死亡の因果関係は不明という。
男性が持病を患っており体調不良を訴えていたといい、目立った外傷がないことから、同署は病死の可能性が高いとみている。
NTT西日本によると、16日午後3時45分ごろ~同4時35分ごろまで、兵庫県の一部エリアなどで通信障害が発生していた。
自身が代表を務める芸能事務所に所属する、当時18歳未満だった女性(20)にわいせつな行為を繰り返したとして、警視庁少年育成課は、児童福祉法違反の疑いで、芸能事務所「GO little by little」代表、鳥丸寛士容疑者(39)=埼玉県所沢市小手指町=を逮捕した。「真剣な交際のつもりだった。この業界では運営側とアイドルが交際することはよくあること」などと話し、容疑を一部否認している。
【写真】女性が並ぶ「立ちんぼ公園」と呼ばれる大久保公園前。全体的に若く、ルックスもいい
逮捕容疑は令和3~4年、当時16~17歳だったアイドルとして所属する女性に、東京都内のホテルで12回にわたり、わいせつな行為をしたとしている。
少年育成課によると、女性は14歳のころから事務所に所属し、15歳のころから活動に使う写真撮影名目でホテルに呼び出されて、わいせつな行為を受けていたという。女性は「つらかったが、アイドル活動を続けたいという思いで断れなかった」と説明しているといい、今年3月に警視庁に被害を相談した。
SNSなどを使い投資や資産運用の情報を発信する「フィンフルエンサー」が台頭している。若者中心にSNSにしたしむ人が増えている上、昨年1月に新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まり、投資熱が強まっていることも背景にあるとみられる。もっとも、発信される情報は〝玉石混交〟で、消費者が詐欺まがいのトラブルに巻き込まれるケースも。今後もこうした状況は続くとみられるが、欧州とは異なり、日本ではフィンフルエンサー特化の規制議論は始まっていない。
【実際の画像】SNSを検索すると、投資を勧める多くの配信が出てくる
■600万円振り込んだが…
「フィンフルエンサーにだまされた」。近年、こんなトラブルが増えている。
SNSなどで金融や投資に関する情報を発信する人は最近、フィンフルエンサーと呼ばれている。「ファイナンス(金融)」と「インフルエンサー(大きな影響力を持つ人)」を合わせた造語で、元金融機関の職員、有名な個人投資家などさまざまな人がいる。
著名な投資家とSNSでつながり、そのアシスタントとメッセージアプリでやりとりするようになった60代の男性。トレーダーを紹介されて株式を購入することになり、約600万円を口座に振り込んだ。
その後、お金は約1700万円まで増えたはずだったが、確認すると10万円まで減っていた。追加の投資を勧められたため、「これ以上の入金は不可能だ」と伝えると、複数の消費者金融のURLが送られてきた-。
今年7月、国民生活センターへ持ち込まれた相談の内容だ。センターによると、この投資家が本物だったのか偽物だったのか分からないという。
センターに対しては、SNSでつながるなどした著名人を名乗る人らから金融商品を勧められ購入したが、お金が返ってこないといったトラブルの相談が増えている。
件数は2021年度の52件から22年度に170件と3倍以上に増えた後、23年度は1660件とさらに10倍近くまで急増。24年度は976件と約4割減ったが、それでも22年度の5倍以上だ。
大和総研の谷京研究員によると、〝オフィシャル〟に使われるようになったのは、24年11月、世界の証券監督当局などが参加する「証券監督者国際機構(IOSCO)」が「フィンフルエンサー」と題する文書を公表し、リスクを整理したあたりからだという。
7月の参院選に自民党から比例代表で出馬した阿部恭久氏(66)に投票する見返りに従業員らに報酬を約束したとして、パチンコ店運営会社「デルパラ」幹部らが逮捕された事件で、警視庁など1都7県の合同捜査本部は16日、公職選挙法違反(買収約束)の疑いで、同社長の李昌範容疑者(50)ら3人を再逮捕した。
ほかに再逮捕されたのは、同社営業本部長の湯浅一行(46)、同社幹部の小西悌之(44)の両容疑者。デルパラグループは、1都7県で展開。うち鹿児島県の店舗はデルパラが買収した「モリナガ」が運営し、李容疑者が社長を、湯浅容疑者が専務を務めていた。
再逮捕容疑は7月初旬~中旬ごろ、モリナガが運営するパチンコ店の店長らと共謀し、店員ら107人に、阿部氏への投票の見返りに現金3000~4000円を支払う約束をしたとしている。
捜査本部は8月26日、デルパラの店員ら約60人に買収約束をした疑いで李容疑者ら6人を逮捕。さらに今月5日に別の店員ら36人に買収約束した疑いで追送検した。被買収者は計203人に上り、同法違反に問われる見通し。さらに捜査を進め、立件対象は平成以降の国政選挙で最多となるとみられる。
【ワシントン=大内清】トランプ米大統領は15日、米軍に命じて南米ベネズエラから出た船を公海上で攻撃し、乗っていた男性3人を殺害したと発表した。船は米国へ麻薬を運搬しており、3人は「麻薬テロリスト」だったと主張した。自身のSNSに投稿した。
トランプ氏は2日にも、同様の理由で、ベネズエラの犯罪組織トレン・デ・アラグア(TdA)のものだとする船をカリブ海の公海上で攻撃し11人を殺害したと発表。臨検などの法執行活動ではなく軍事攻撃を行ったことは、違法な司法外処刑にあたると指摘されるが、政権側は「自衛のための軍事力行使だ」と主張している。
今回攻撃対象となった船と乗船者について、トランプ政権が「麻薬テロリスト」と断定した根拠は不明。トランプ氏は投稿で、「凶暴な麻薬密輸カルテルは米国の安全保障と外交、重要な国益への脅威だ」と殺害を正当化した。
ロイター通信によると、ベネズエラ政府は、前回の攻撃で殺害された11人はいずれもTdAのメンバーではなかったとしている。
トランプ政権は2月、TdAなど複数の犯罪組織を「外国テロ組織」に指定。その後、不法移民対策の一環として戦時法「敵性外国人法」を発動する根拠として、TdAが「ベネズエラ政府の支援を受けて米国内で非正規戦を行っている」と主張した。
こうした政策の延長線上で繰り返される「対テロ」名目での船舶攻撃には、戦時と平時の法的な境界をいっそうあいまいにし、トランプ氏に権限を集中する狙いがあるとみられる。
酒と睡眠導入剤を飲んだ状態で車を運転し、衝突事故を起こしたなどとして、警視庁は16日、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)と道交法違反の疑いで、東京都江戸川区東葛西の会社員、植松大樹容疑者(54)を逮捕した。「記憶はないが、私が運転したことに間違いない」と供述している。
逮捕容疑は5月6日午後8時5分ごろ、東京都江戸川区東葛西の路上で、酒と睡眠導入剤を飲んだ状態で車を運転、対向車線にはみ出して50代男性が運転する自動車に衝突し、男性に腰椎捻挫のけがを負わせたにも関わらず、現場から逃走したなどとしている。
警視庁葛西署によると、事故直後、被害男性が1キロメートルほど植松容疑者を追跡し、車を止めさせ110番通報していた。植松容疑者は直後に再び逃走し、帰宅していたが、防犯カメラ映像などから関与が浮上した。
同僚の財布を盗んだとして、陸上自衛隊習志野駐屯地(千葉県船橋市)は16日、第1空挺団の3等陸曹(29)を懲戒免職処分とした。
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同駐屯地によると、3等陸曹は昨年12月10日、千葉県船橋市内の飲食店で後輩隊員から現金1万1000円が入った財布を盗んだ。被害を受けた隊員が今年4月に部隊に報告したことから発覚した。
同駐屯地の調査に対し3等陸曹は「職務に希望通り就けないことへの不満があり、ストレスがあった」と述べたという。
第1空挺団特科大隊長の辻一城3等陸佐は「誠に遺憾。教育、指導を徹底するとともに今回の事案を風化させず、継続して隊員に対する指導を強化し、再発防止に努める」とコメントした。
「やる気スイッチグループ」が運営する個別指導塾「スクールIE」で、生徒の女子中学生(15)にわいせつな行為をしたとして、警視庁少年育成課は、不同意わいせつの疑いで、元教室長の石田親一容疑者(45)=東京都中野区新井=を逮捕した。「下着の上からは触っていない」などと容疑を一部否認している。
逮捕容疑は3月と5月ごろ、当時勤務していた都内の学習塾で、授業中に同じ女子生徒の胸を下着の上から触るなどしたとしている。
少年育成課によると、事件当時、石田容疑者は女子生徒と横並びに座って授業をしていて、塾内には2人しかいなかったという。女子生徒が「塾の先生に体を触られている」とカウンセラーに相談し、発覚した。石田容疑者は「何も言わなかったので大丈夫だと思いエスカレートした」「これまでに10回くらいやった」などと話している。
ロシア西部オリョール州のクリチコフ知事は13日、同州内の鉄道線路上で爆発が起き、治安機関「国家親衛隊」の職員2人が死亡、1人が負傷したとSNSで発表した。14日になって負傷の1人も死亡したという。露北西部レニングラード州のドロズデンコ知事も14日、州内で燃料輸送列車などの脱線が2件発生し、うち1件で運転士が死亡したとSNSで明らかにした。
【写真】モスクワ市内にある朝鮮料理店のメニュー表。インフレを受けて値段のシールが何度も張り替えられている
ウクライナメディア「RBKウクライナ」は14日、オリョール州での爆発とレニングラード州での列車脱線について、露軍の兵站(へいたん)弱体化を狙ったウクライナ国防省情報総局と同国軍特殊部隊の共同作戦だったと消息筋が明かしたことを伝えた。消息筋は「これらの線路はウクライナ東部ハルキウ方面や北東部スムイ方面に展開する露軍の重要な物資補給ルートだった」と指摘したという。
ロシア・ウクライナ双方の報道によると、オリョール州の鉄道線路上で13日夜に爆発物が見つかり、国家親衛隊が除去作業をしていた最中に爆発が起きた。レニングラード州では14日未明、鉄道線路上で爆発が起き、燃料輸送列車が脱線して火災が発生。この脱線で死傷者はなかった。ただ、その後、州内の別の場所でディーゼル列車の脱線が起き、運転士が死亡した。
ロシアではこのところ、燃料関連施設を標的としたウクライナの長距離攻撃が激化しており、製油能力の低下でガソリン価格の高騰などが起きている。13日にも露中部ウファの製油施設がウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けて損傷したほか、14日未明にもレニングラード州の製油施設がドローン攻撃で損傷した。
一方、ロシアもウクライナの電力インフラなどを狙った長距離攻撃を継続し、多数の民間人が死傷している。(小野田雄一)
悪質な盗撮行為の摘発が相次いでいる。昨年、盗撮の摘発件数は全国で8323件と過去最多を記録。盗撮などを繰り返す行為は「性的依存症」の可能性もあり、専門家は治療の必要性を指摘する。
【写真】まさか同級生が…高校生に増える「校内盗撮」 リアリティー追及し…
■「性的興奮覚える」
「女性を追って盗撮することで性的興奮を覚え、忘れられない」
東京都台東区の地下鉄駅構内のエスカレーターで6月、女性のスカート内を撮影しようとしたとして、神奈川県の会社員の40代男が警視庁に現行犯逮捕された。
事件は土曜日の午前11時ごろに発生。同駅では、以前から同様の被害が複数発生しており、私服警官が巡回していた。
男は1時間ほど付近にとどまり、エスカレーターで地上に上がる女性を見つけて動き出した。スマートフォンで動画を撮影し、気に入った場面をスクリーンショットして残していたとみられ、スマホからは100件以上の動画が見つかった。
男は地下鉄などで利用できる1日乗車券を購入しており、何度でも出入りできる切符を悪用し、盗撮行為を繰り返していた可能性がある。
■「性的依存症」
警察庁によると、昨年の性的姿態等撮影罪と迷惑防止条例違反などによる盗撮の摘発件数は8323件と過去最多。発生場所別では、階段・エスカレーターが1757件で全体の約20%、共用トイレが1311件で約15%を占めた。東京都内では今年上半期(1~6月)で705件(暫定値)を摘発し、前年同期(624件)を上回った。
盗撮について、依存症などの研究を行い、精神科外来クリニックで性的問題を抱える人の治療を行う筑波大の原田隆之教授(犯罪心理学)は「『性的依存症』の可能性が極めて強いと考えられる」と話す。
高い規範意識が求められるはずの公務員による盗撮も相次ぐ。都内では4月、電車内で女性のスカートの中を撮影しようとしたとして、都の担当課長だった男が逮捕された。愛知県警は6月、児童の盗撮画像をSNSで共有したとして、教員らのグループを摘発した。
法務省の「平成27年版犯罪白書」によると、盗撮をして有罪判決を受けた人が、5年以内に性犯罪に及ぶ割合は28・6%に上る。繰り返す中で犯行態様がエスカレートするケースもある。酒や薬物への依存と同様に「性的依存症」の深刻さが広く知られつつある。
兵庫県西宮市の住宅で8月、男女3人が刃物で切り付けられ負傷した事件で、兵庫県警甲子園署は15日、女性(84)と男性(92)に対する殺人未遂容疑で、同市里中町の無職、井上雄司容疑者(39)を再逮捕した。「被害者の家に行ったのは2人を殺すためです」と容疑を認めている。
【写真】3人が切りつけられる事件があった現場付近
再逮捕容疑は、8月26日午前9時55分ごろ~同10時ごろの間、夫婦の自宅で2人を包丁で切りつけ、殺害しようとしたとしている。
同署によると、女性は全身を切りつけられ、男性は左肩や左腕などを切りつけられたが、いずれも命に別条はなく、軽傷という。
井上容疑者は事件当日、自宅近くのスーパーで凶器とみられる包丁(刃渡り約15・5センチ)を購入していたという。容疑者と夫婦は知人とみられ、何らかのトラブルがあった可能性も視野に同署が詳しい経緯を調べている。
井上容疑者は、夫婦を助けに来た隣人の70代男性の胸を刃物で突き刺したとする殺人未遂容疑で、8月26日に現行犯逮捕されていた。
自宅で母親(77)を殺害したとして、兵庫県警加西署は13日、殺人の疑いで、兵庫県加西市の無職の男(51)を逮捕した。「私の母に対して包丁で切りつけて殺したことに間違いありません」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は今月11日午前~13日早朝までの間、自宅で同居する母親を、包丁で切りつけるなどして殺害したとしている。
同署によると、男は母親と2人暮らし。13日午前4時45分ごろ、男が自ら同署に「2日前に自宅で母親を殺した」と通報した。署員が自宅に駆けつけたところ、1階台所で首や腕に複数の傷を負い、血を流してあおむけに倒れた母親を発見し、その場で死亡が確認された。
13日午後3時ごろ、大阪府茨木市下中条町の解体中のアパートで「白骨が出てきた」と通報があった。大阪府警茨木署によると、解体作業をしていた40代男性が、全身白骨化した性別不明の遺体を見つけた。大きさから成人とみられ、同署は司法解剖するなどして身元や死因を調べる。
同署によると、現場のアパートは2階建て。計8部屋あったが現在は居住者がおらず、発見した男性が解体を請け負っていた。遺体は1階の元居住スペースを解体中に見つかり、目立った損傷の形跡は確認されていないという。
現場はJR茨木駅から東約500メートルの住宅街。
生活保護受給者が刑事事件などで勾留された場合に、保護費の支給を一時停止させるために自治体に通知する制度を運用している都道府県警が大阪府警と京都府警の2府警にとどまることが14日、分かった。留置施設に収容されている間の保護費が口座に手つかずで残り、釈放後に実質的な〝ボーナス〟となる二重支給を自治体と連携して防ぐ適正化の取り組みだが、全国には普及していない。
■導入は大阪、京都のみ
通知の対象となる受給者は全体のごく一部に限られ、個人情報保護の観点からの慎重論も根強くあり、自治体側に導入の機運が高まらないことが、制度が広がらない背景にあるとみられる。
大阪府警が運用しているのは、勾留されている容疑者が生活保護受給者だと判明した場合に、自治体と情報を共有する「収容情報通知制度」。平成26年から大阪市と試験的に取り組みを始め、令和元年までに大阪府下全域に拡大した。
制度開始前、受給者の勾留情報はケースワーカーが長期間の留守に気づき、警察に照会しなければ分からず、状況把握に数カ月を要することも。発覚までに本来は必要のない保護費が支給されていたという。
府警によると、府内の通知者数は毎年延べ800~900人前後で推移。昨年は過去最多の延べ1034人に上った。
大阪市では、通知を受けると、食費や光熱費などに充てる生活扶助費の支給を停止する。20~40代の単身者の場合、月額7万6420円の生活扶助の基準額から勾留日数分を日割りし、社会復帰後に返還を求めている。
大阪以外では、京都府警が3年に京都市、7年に宇治市と協定を締結し受給者の勾留情報を両市に通知している。京都市の担当者によると、制度導入の際には大阪市の担当者からヒアリングするなど「大阪モデル」を参考にしたという。
■対象ごく一部、自治体にインセンティブ働かず
生活保護法4条は、生活困窮者に対し「その利用し得る資産、能力その他あらゆるもの」を活用することを求め、それでも足りない場合に保護が実施されるという「補足性の原理」を規定。勾留されると刑事収容施設法に基づいて衣食住が担保されるため、補足性を満たさず、この間は保護の必要性がなくなる。
通知制度はこの補足性の原理が根拠となっているが、警察が被勾留者の情報を自治体に伝えることは個人情報の目的外利用にあたるとして、制度導入に際してはプライバシー保護の観点から慎重意見も根強くあった。このため府個人情報保護審議会は制度についての答申の中で「目的は収容期間中の二重支給の防止にあり、被保護者に対する偏見を助長しないよう十分説明すること」と注文をつけ、最小限の人員で情報管理を行うなど厳格な運用規則が定められた経緯がある。