浜松市中央区の店舗駐車場で50代男性が刃物で切り付けられた事件で、浜松東署と静岡県警捜査4課は28日、殺人未遂容疑で指名手配していた元指定暴力団山口組国領屋一家幹部、同区幸2丁目、無職野嶋秀樹容疑者(51)を逮捕した。関係者によると同日、同署に出頭した。野嶋容疑者は切り付けるのに日本刀を使用したとみられる。
逮捕容疑は25日午前1時ごろ、同区領家の店舗駐車場で男性を刃物で切り付けて殺害しようとした疑い。県警は認否を明らかにしていない。
県警などによると、男性は国領屋一家の幹部。左足に重傷を負ったが、命に別条はないとされる。2人の間に何らかのトラブルがあったとみられる。同署などは25日、野嶋容疑者の逮捕状を取って指名手配し、顔写真を公開した。野嶋容疑者は28日正午ごろ、1人で歩いて出頭。抵抗する様子はなかったという。
野嶋容疑者は事件後、現場から車で逃走して行方をくらましていた。同署などはこれまでに、容疑者の関係者の男女2人を犯人隠避容疑で逮捕した。県警は容疑者が使用したとみられる車両を押収し、逃走後の足取りなどを調べている。
25日午前1時ごろ、浜松市中央区領家1丁目の店舗駐車場で、男が同市の50代男性の足を刃物で切り付け、逃走した。浜松東署と静岡県警捜査4課は殺人未遂容疑で、現場から逃走した元指定暴力団山口組国領屋一家幹部、同市生まれ、住所、職業ともに不詳、野嶋秀樹容疑者(51)の逮捕状を取り、指名手配した。
【写真】浜松東署などが殺人未遂容疑で指名手配した野嶋秀樹容疑者
同署などによると、切り付けられた男性は国領屋一家の組員。左足に重傷を負ったが、搬送時に意識があり、会話できたという。野嶋容疑者は現場から車で逃走したとされ、刃物は見つかっていない。2人の間に何らかのトラブルがあったとみられる。
野嶋容疑者は身長166センチで、中肉から小太り。茶色の短髪で、事件時、上半身に黒っぽい衣類を着用していたという。現場はJR浜松駅から東に約2キロで、道路沿いに飲食店などが立ち並ぶ地域。県警は周辺の防犯カメラを確認するなどして行方を追っている。付近に住む80代女性は「怒鳴り声で目が覚めた。大声は15分ほど続いたと思う。まさかこんな事件になるとは」と驚いた様子で話した。
事件を受け現場付近の小学校などでは下校時間を早め、一斉下校の対応をとった。市教育委員会は、市内全域の小中学校と高校に子どもの安全確保を呼びかけた。
情報提供は浜松東署<電053(460)0110>へ。
静岡県内の特殊詐欺被害が今年に入って後を絶たない。1~3月だけの暫定値で2024年同期比50件増の96件、被害額は同5億円増の約5億7千万円で、年末にかけて被害増がみられる例年の傾向を覆す状況だ。特に「警察官をかたる手口」のおれおれ詐欺被害が深刻で、4月も増加の一途。県警は緊急事態と捉えて啓発を強化、大型連休には緊急キャンペーンを予定する。生活安全企画課は「年代を問わず被害に遭う恐れがある。連休中に家族で話題に上げ、みんなで防犯意識を高めて」と呼びかける。
警察官をかたる手口は96件の約4割。詐欺グループからは固定電話に加え、携帯電話にも最初の接触がある。警視庁だけでなく県内に実在する警察署の番号が表示される事例もあった。LINE(ライン)などSNSでの連絡を指示し、偽物の警察手帳や逮捕状などの画像を送りつけて信じ込ませる手口が大半。「捜査のため、資産を調べます」「〇〇の口座に振込送金して」などと要求して金銭を一つの口座にまとめさせる手法で、平均被害額が高くなる特徴があるという。
24日現在の特殊詐欺の被害件数は24年同期比72件増の136件、同7億1081万円増の7億9041万円。24年の1年間の被害総額(約16億円)は23年比8億円超の増加で、統計のある04年以降の最高額を記録しただけに対策は急務だ。
SNS型投資・ロマンス詐欺の1~3月の被害は24年同期比26件増の49件。額は同1億6千万円減の約5億2千万円。24日現在で発生63件、被害額6億8030万円まで増えている。
特殊詐欺では「受け子」が金を取りに来る古典的な手口の被害者層は60代以上とされてきたが、警察官がたりは50代以下が4割。SNS型投資・ロマンスの被害層も40~60代が中心だ。
警察庁は警察官がたりの具体的手口を伝えるチラシを作り、全国の警察と連携した啓発を始めた。県警は5月2、7の両日、官公庁や金融機関とともにJR静岡駅で配って注意を促す。同課の坂田幸隆課長は「警察がSNSで連絡を取ることはあり得ない。新たな手口にはスピード感を持って対策を講じていく」と話す。
清水町内の車道で自転車のあおり運転をして車両の通行を妨げたとして、沼津署は23日、道交法違反の疑いで同町伏見、職業不詳の男(65)を逮捕した。
【動画】自転車で車道を右へ左へフラフラ…急ブレーキも
逮捕容疑は21日午前8時半ごろ、同町の車道で自転車を運転し、後続の自動車の通行を妨害するために急ブレーキをかけた疑い。
同署によると、後続車両から「危険な運転をする自転車がいる」などと通報があった。男は自転車に乗って車道上で危険走行を繰り返したほか、交差点で青信号にもかかわらず急ブレーキをかけたとみられる。
■2車線にまたがり蛇行も 被害受けた通報者「周りの車に迷惑」
自転車のあおり運転で後続車両の通行を妨げたとして、沼津署が65歳の男を道交法違反の疑いで逮捕した事件。被害を受けたとして、110番通報した沼津市のタクシー会社の社長は「自分の命を顧みない行為は周りの車に迷惑」と憤った。
同社が提供したドライブレコーダーの映像には、車両が清水町から沼津市方面へ向かう途中に男の自転車が現れ、2車線にまたがって蛇行運転する様子などが写っていた。青信号の車道の停止線付近でブレーキをかけて急停止し、携帯電話を使用しているような姿もあった。
同社社長は「自分の身は自分で守るためにも、運転中はスピードを出さず、周囲を刺激しないで車間距離を取ることが改めて大事だと感じた」と振り返った。
日越両国でコンサルティング業を展開する静岡大発のベンチャーN&Vホールディングス(浜松市中央区)が、ベトナムで冠婚葬祭事業に乗り出す。リゾート地で日本人向けに結婚式事業を手がけ、日本の遺体保全技術を導入した葬儀ビジネスにも参画する。経済成長が続くベトナムで日本企業と合弁を組み、高付加価値型のサービスを提供して市場開拓を進める。
ベトナム中部の最大都市ダナンで今秋、リゾートウエディング事業を開始する。海沿いのリゾート施設と契約し、日本品質の衣装やヘアメークなど挙式に必要なサービスを完備。数十万円から挙式可能にする。
同社は2018年に結婚式事業を企画したが、新型コロナ禍で断念していた。ダナンは沿岸部の砂浜や周辺都市の世界遺産が楽しめることから人気が上昇しており、成田から直行便が就航している。夏には関西便が再開予定。2泊3日の日程で訪問できる利便性を生かし、年間350組ほどの利用を見込む。
同社は年内に、日本の冠婚葬祭業大手との合弁で、遺体の衛生保全技術「エンバーミング」を導入した葬祭業を始める。高温多雨の気候のベトナムで、故人の遺体を生前の状態に近い形で保ち、葬儀を迎えたいと考える富裕層は増えている。コロナ禍を経て衛生意識が高まり、遺体の消毒や防腐の必要性が認識され始めた状況から事業化を決めた。エンバーミングの専門人材を育成し、現地の病院や葬儀会社との連携で高価格帯の葬儀事業の確立を図る。
N&Vは、ダナン出身のグェン・ボ・フェン・ユーン社長(43)が静大留学を経て浜松市で起業した。不動産や人材などの事業を拡大するほか、日本の食べ放題の焼き肉チェーンや居酒屋店のベトナム進出に携わってきた。グェン社長は「日本の技術や信頼性を生かし、ベトナムにまだないコンテンツや、誰もやっていない事業を広めていきたい」と話す。