●県内人身被害3件目
24日午後0時39分ごろ、立山町西大森の民家の庭で70代女性がクマに襲われ、重傷を負った。女性は顔などから血を流し、付近住民に助けを求めたとみられ、富山市内の病院に搬送された。直前には付近で成獣2頭が目撃されており、町鳥獣被害対策実施隊員や警察などが捜索したが発見できなかった。今年、富山県内でのクマによる人身被害は3件目。
【写真】女性が襲われる直前、付近をうろつくクマ
町などによると、女性は自宅裏の庭で、庭木の枝切りなどをしていた最中にクマに襲われたとみられる。
●玄関が血の海に
「クマで人がけがをした。早く来てくれ」。午後0時39分、現場付近に住む古川雅宏さん(58)が110番通報した。
この3分ほど前、近くでイヌの散歩をしていた村木武邦さん(56)は、女性が襲われた現場の方へ走っていくクマを見つけ、古川さんに注意するよう電話を入れた。直後、自宅にいた古川さんは、路上でふらふらと歩き倒れ込みそうな女性を見つけ「クマにやられたか」と直感し、女性を自宅内に運び込んだ。
女性は消え入るような声で「襲われた」と必死に訴えてきたという。「血が滴り落ち、玄関は血の海になった」。古川さんは、自身もクマに襲われる恐怖があったとし「とにかく助けなきゃという一心だった」と振り返った。村木さんは「すごいスピードだった。かなり大きかった」と話し、クマが移動している際に女性と鉢合わせたのではないかと推測した。
クマは女性を襲った後、常願寺川の堤防方向に逃げたとみられ、河川敷のやぶなどに潜んでいる可能性がある。町職員や実施隊員、立山消防署員、上市署員ら約40人が捜索に当たり、堤防上の町道などを通行止めにし、防災行政無線などで注意喚起した。立山中央、釜ケ渕、立山、利田4小学校や雄山中では保護者の送迎を依頼するなどした。
立山町では20日にも三ツ塚新の三ツ塚新公民館付近のごみ捨て場で女性(84)が襲われ、軽傷を負った。
●町が花火、おり設置
町は人身事故を受け、25日午前7時から半屋、西大森でクマを追い払うための花火を打つほか、上市署などとともにパトロールを実施。11月7日ごろから約2週間、常願寺川河川敷に捕獲用のおりを設置する。
●県が4回目警報
富山県は24日、立山町で70代女性がクマに襲われたことを受け、今年度4回目のツキノワグマ出没警報を発令した。クマを誘う柿の実や生ごみを除去し、住宅や車庫の戸締まり徹底を求めている。
県によると、10月の出没件数は24日時点で271件で、人身被害が相次いだ2023年10月の257件を上回っている。
●知事が警戒呼び掛け
新田八朗知事は24日の会見で「クマが冬眠に入るまでまだ時間が掛かる。緊張感を持って対応してほしい」と警戒を呼び掛けた。23日に富山市が全国5例目の緊急銃猟を行い、クマ1頭を駆除したことに「新たな対策を無事実施できたことは好材料だ」と述べた。
●県内各地で目撃、痕跡
24日もクマ情報が相次いだ。富山市山田湯で午前4時15分ごろ、住民が成獣1頭を目撃。同市東福沢、岩稲、松野、八尾町掛畑、八尾町高熊でふんや足跡が見つかった。
砺波市安川でAI(人工知能)カメラが1頭を検知。南砺市小山の若宮社付近、同市林道の柿の木畑付近で痕跡が確認された。立山町芦峅寺で幼獣と成獣の目撃情報があり、同町石坂ではふんと爪痕が発見された。上市町広野にふんがあった。
金沢中署は24日、金沢市の60代男性が交流サイト(SNS)を利用したロマンス詐欺の被害に遭い、現金約1480万円をだまし取られたと発表した。石川県警は投資やもうけ話の勧誘には詐欺を疑うよう呼び掛けている。
署によると、男性は3月ごろ、SNSで女性を名乗る人物らと知り合った。同人から「アイスランドにオーロラを見に行こう」などと誘われ、旅行資金を稼ぐ名目で仮想通貨の売買を勧められた。男性は暗号資産の運用資産や故障したシステムの修理費名目などで現金を送金してしまった。
●投資詐欺で3人被害
署はこのほか、SNS型投資詐欺で金沢市内の40〜50代の女性3人が計約220万円を詐取されたと発表した。いずれもSNSで知り合った複数の相手に投資を勧められたという。
小松市は21日、市民病院看護部の同僚職員にセクハラ行為をしたとして、主査級の50代看護師を停職4カ月の懲戒処分にしたと発表した。20日付。市によると、同部の職員数人が参加した飲み会で数回にわたって不必要な体の接触をした。触られた職員は精神疾患を患い、長期休職後に退職した。
被害に遭った職員から相談を受けた日本ハラスメント協会と同病院が面談などを実施。同病院苦情処理委員会がセクハラと認定した。
宮橋勝栄市長は「到底許されるものではなく、市民に深くおわびする。ハラスメント対策に継続的に取り組んでいく」とのコメントを出した。
石川県内での交通死亡事故急増を受け、田中靖之県警本部長は21日、金沢市香林坊1丁目で交通安全の街頭啓発に参加し、事故防止へ異例の呼び掛けを行った。
田中本部長は県警マスコット「いぬわし君」と出動し、「本部長の田中です。夕方に着けてください」と声を掛け、高校生や買い物客に反射材を手渡した。交通事故死者数は20日時点で26人と前年同期を4人上回り、10月だけでも4人が亡くなった。県警によると本部長自ら街頭に立つのは珍しいという。
街頭啓発は20年以上ぶりだという田中本部長。「久しぶりに制服を着て外に出た。薄暮には特に事故が多くなるので気を付けてほしい」と語った。
21〜30日に行われる県の歩行者事故防止運動の一環で、21日は県や金沢市、県交通安全協会などの約30人が活動した。
津幡署は14日、特殊詐欺被害を防いだとして、北陸綜合警備保障(金沢市)の社員、米澤拓也さん(33)に署長感謝状を贈った。同署で源雄一郎署長が手渡した。
【写真】感謝状を受け取った真田さん(左)と吉田店長
米澤さんは9月6日、かほく市内の銀行で、携帯電話を掛けながらATMを操作していた高齢男性を見つけて詐欺被害を疑い、声を掛けて被害を防いだ。米澤さんは警備関係の業務で銀行にいたといい「被害を一つでも減らせて良かった。今後も積極的に声を掛けたい」と話した。
また、津幡署は16日、特殊詐欺被害を防いだとして、かほく市松浜のファミリーマートかほく松浜店と従業員の真田陽子さん(55)に署長感謝状を贈った。
真田さんは8月26日、店で電子マネー1万円分を購入して「(電子マネーの)送り方を教えてほしい」と話した市内の60代男性から事情を聞き出して詐欺を疑い、110番通報した。
同署で源雄一郎署長から吉田友梨子店長(42)とともに感謝状を受け取った真田さんは「今後も勇気を出して声を掛けていきたい」と話した。
17日午後5時3分ごろ、輪島市町野町大川の空き家から出火、木造住宅を全焼し、約3時間後に消し止められた。出火当時、男女2人がおり、煙を吸った男性(66)が市立輪島病院で手当てを受けた。
奥能登広域圏事務組合消防本部などによると、現場は海岸近くの山地の中で、輪島、珠洲両市から消防車両12台が出動し、消火用水を現場までポンプでくみ上げた。2人は家の片付けをしていたとみられる。電気系統のトラブルの可能性もあるとみて、同本部と輪島署は18日に実況見分を行って出火原因を調べる。
【写真】炎上する家屋
17日午後5時3分ごろ、輪島市町野町大川の空き家から出火、木造住宅を全焼し、約3時間後に消し止められた。出火当時、男女2人がおり、煙を吸った男性(66)が市立輪島病院で手当てを受けた。
奥能登広域圏事務組合消防本部などによると、現場は海岸近くの山地の中で、輪島、珠洲両市から消防車両12台が出動し、消火用水を現場までポンプでくみ上げた。2人は家の片付けをしていたとみられる。電気系統のトラブルの可能性もあるとみて、同本部と輪島署は18日に実況見分を行って出火原因を調べる。
【写真】炎上する家屋
●警察官かたる、SNS悪用 車の下に700万円置く
被害に歯止めが掛からない。金沢中署は17日、金沢市内で特殊詐欺が相次いで発生し、50〜70代の男女3人が現金や暗号資産計約1120万円をだまし取られたと発表した。石川県警によると、今年県内で確認された特殊詐欺と交流サイト(SNS)を悪用した詐欺の被害総額は20億円を超え、過去最悪だった昨年1年間の15億1700万円を既に約5億円上回った。
●金沢で1120万円
県警によると、1〜9月の被害総額は約19億3900万円に上る。特殊詐欺が164件(前年同期比78件増)で約9億3200万円(約7億3700万円増)、SNS型投資・ロマンス詐欺は105件(35件増)で約10億800万円(約2億5千万円増)だった。
特に増加が目立つのは、特殊詐欺の中でオレオレ詐欺に分類される警察官をかたる詐欺だ。9月末時点で63件、約7億4800万円とオレオレ詐欺の大半を占め、昨年1年間の25件、約1億3700万円を大幅に上回っている。このほか、20代や30代の若者が被害者となるケースも増えているという。
10月も金沢中署や白山署管内などで被害が続き、総額は20億円に達した。金沢中署が17日発表した手口も、警察官をかたる特殊詐欺(オレオレ詐欺)や架空料金請求詐欺だった。
署によると、70代男性方に8月中旬ごろ、警察官や検察官を名乗る男から「暴力団員を逮捕したら、あなた名義の通帳を持っていた。犯罪に使われたスマートフォンもあなた名義で契約されていた」と電話があった。
その後、無実を証明するため現金を引き出し、自宅で保管しておくよう伝えられた。男性は9月11日、指示通り自宅敷地内の車の下に現金約700万円を置いたところ奪われた。
60代男性方には10月3日、大阪の通信事業者をかたる女や大阪府警の警察官を装った男から「あなた名義のスマートフォンに未払料金がある。捜査に協力しなければ逮捕される」などと連絡があり、時価約400万円分の暗号資産を送金した。
50代女性は、通信事業者の職員を偽る男らから70万円分の未払料金があると指摘され、支払いを免除するための費用をうたった架空料金請求詐欺で現金約20万円を詐取された。
県警は、手口を知ることが詐欺被害防止の「抵抗力」につながるとし、SNSなども活用して注意を呼び掛けている。
16日午前11時5分ごろ、南砺市利賀村仙野原で、消防署員が大破した乗用車内で男性1人の遺体を見つけた。南砺署によると、車はがけから転落したとみられ、15日夜に行方不明届が出された50代男性の可能性があるとみて調べている。
現場は利賀と砺波市庄川を結ぶ国道471号のがけ下にある雑草地。署は国道か付近の林道から転落した可能性があるとみている。
署によると、15日夜に「会社の同僚が帰ってきていない」と届け出があった。16日朝から砺波地域消防組合消防本部と合同で捜索し、防災ヘリが車を発見した。近く遺体を司法解剖し、身元や死因を調べる。
15日午後3時ごろ、七尾市中島町小牧ののと里山海道で、軽自動車と軽トラック、乗用車の計3台が絡む交通事故が起きた。軽自動車を運転していた金沢市神谷内町の無職男性(79)が救急搬送中に意識を失い、金沢市内の病院で死亡が確認された。
七尾署によると、79歳男性の車に乗っていた70代妻と、軽トラックを運転していた金沢市八日市2丁目の配送業男性(56)が重傷を負った。乗用車に乗っていた2人にけがはなかった。
同署は79歳男性が金沢方面に進行中、対向車線にはみ出し、対向の乗用車と接触した後、後続にいた軽トラックと正面衝突したとみている。この事故の影響で、横田―穴水インターチェンジ(IC)間の上下線が一時通行止めとなった。
10日朝、珠洲市高屋町の農道で、同市高屋町の無職川渕雅喜さん(72)が運転する小型運搬車がひっくり返り、川渕さんが車両の下敷きになった。午前9時25分に通行人が119番通報し、川渕さんは意識不明の状態で救出されて珠洲市総合病院に運ばれたが、正午過ぎに死亡が確認された。
【写真】横転した運搬車
珠洲署によると、死因は車両の下敷きになったことによる窒息死だった。現場は勾配のある農道で、川渕さんは砂利を積んだ小型運搬車で坂道を下る途中、農道脇の法面(のりめん)に乗り上げ、車両ごとひっくり返ったとみられる。
●空き家の貴金属や仏具狙い 邸宅侵入の疑い
能登半島地震の被災家屋を狙い、金品を盗む事件が七尾市や中能登町で相次ぎ、七尾署と石川県警が邸宅侵入の疑いで複数のベトナム人を逮捕していたことが9日、捜査関係者への取材で分かった。両市町では貴金属や仏具、金庫などが盗難に遭っており、窃盗グループが能登に入り込んだとみられる。同署などは余罪を追及するとともに、他にも共犯者がいないかを調べている。
捜査関係者によると、8月、七尾市田鶴浜地区で指輪やネックレスなどのアクセサリーが盗まれる被害があった。七尾市、中能登町では今年に入り、被災して空き家となった家屋から金品が盗まれる被害が約20件確認されているという。
これを受け、七尾署や県警はパトロールを強化。ベトナム人が窃盗目的で住宅に侵入したことを特定し、逮捕に至ったという。窃盗グループは、住民が避難し、人が住んでいない家屋などで犯行を繰り返したとみられる。
地震の被災家屋を狙った窃盗事件では、石川、富山など5県警の合同・共同捜査本部が昨年にベトナム国籍の男5人を逮捕。石川、富山を含む8県で計170件の窃盗を重ね、被害額は約2500万円に及んだ。5人は「泥棒がしやすいと思って被災地に行った」などと供述していたという。
石川県警によると、宝達志水町以北9市町における今年1〜8月の刑法犯認知件数(暫定値)は、前年同期と比べ約1・5倍(164件増)の467件となっている。このうち窃盗は130件増の334件と約1・6倍となり、全体の約7割を占めている。
市町別で刑法犯認知件数が最も多いのは七尾市の122件(前年同期比58件増)で、輪島市108件(48件増)、羽咋市62件(16件増)と続く。窃盗は多い順に輪島市80件(35件増)、七尾市78件(42件増)、羽咋市45件(19件増)。
●損壊、施錠できず
県警によると、地震で損壊して玄関の施錠ができなくなるなど、外からの出入りが容易な空き家への侵入盗が増えているという。
県警は輪島、珠洲両署に職務質問技能の高い職員を配置。9月11日には両署管内で、県警本部や金沢市内の3署、白山署などが合同で大規模検問を初めて実施した。きめ細かい巡回や被災地以外からの応援派遣などを受け、引き続き警戒を強める方針だ。